乳房に異変を感じたら 良性と悪性
何気なく自分の乳房に触れて今までとは違った感触や様子を発見したら、不安を抱く人は多いはず。良性の病気が原因の場合もありますし、生理的な現象としても乳房に変化がでます。一般的には自分で乳房を触ったときに「石のように硬い」「指で触わっても動かない」などのしこりがあるとがん細胞の疑いがあります。
乳がんは石のような硬さの「ゴリッ」「ゴツン」とした感触があります。乳房の中に石が埋まっているように、指で押しても動きにくい感じがします。周囲の組織にがんが癒着しているからです。
これに対して、良性の腫瘍はグミキャンディーを押すような感じがします。
ただし、これらは一般的な傾向で、触る本人にはわかりにくい場合もありますから、異常に気づいたら必ず乳腺外科や乳腺外来に診てもらいましょう。
しこりとは違う感じで、乳房の一部がいつもと違って妙に硬い場合も注意する必要があります。月経とは関係なく硬さがある場合は注意します。 乳房を手で触って調べたら、次はわきの下に触れてみましょう。乳房にははっきりとしたしこりがなくても、わきの下でしこりが触れることがあるので、乳房のチェックの際はわきの下も触ってみることが大切です。乳がんがわきの下のリンパ節に転移すると、そこにしこりを感じます。
誰でも月経が始まる前は、乳房が張って痛みを感じることがあります。これは乳房の痛みに女性ホルモンが影響するためです。乳房痛は普通月経周期と一致しますが、まれに、月経周期と一致しない乳房痛もあります。月経と関係ない痛みが2〜3ヶ月続く場合は、乳がん以外にも乳腺症、乳腺炎、乳房付近の筋肉痛、肋間神経痛などの疑いがありますから一度かかりつけ医に診てもらうのが良いと思います。
ごくまれに、しこりを感じることなく、乳頭(乳首)から分泌物が出ることがあります。ただし、分泌物が出るからといって乳がんだということではありません。
乳頭(乳首)から分泌があるときは、両方の乳首から出るか、1ヶ所から出るか。数ヶ所から出るかを確かめてください、分泌物の色を見ることも重要です。ミルク状の分泌物が両側の乳首からでる場合はほとんど心配ありません。しかし、片方の乳首の1ヶ所から血液が混じったような分泌物がある場合は、がんなど病的な原因によることがあります。
乳頭分泌は、ホルモンの変化、降圧剤、抗潰瘍薬、抗うつ剤、睡眠剤などの薬の副作用で出ることもあります。
乳がんができて悪化し、皮膚の近くにまで達すると、えくぼのようなくぼみができることがあります。一般にえくぼ症状と呼ばれます。
初期は乳房をつまむとへこみがわかる状態ですが、進行すると何もしなくてもへこみます。
さらに進行すると、皮膚が赤く腫れたり、乳房の表面がオレンジの皮のように毛穴が目立つような状態になります。痛みや熱感を伴うことがあります。
赤い腫れやオレンジの皮状の皮膚の変化は、乳腺炎だけでなく炎症性乳がんでも見られることがあります。乳腺炎と軽く考えないで、専門医に相談しましょう。
また、乳頭がただれ、一時はかさぶたを作っても、再びびらんとなり治りにくい場合は、アトピー性皮膚炎などと軽く考えないで、乳頭部に発生する特殊な非浸潤のパジェット病である可能性もありますので注意が必要です。
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