乳がんの定義と種類,乳がんの症状,乳がんの手術,乳がんの診断,乳がんの治療,乳がんの検査,抗がん剤の副作用,自己検診
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1.定義と種類
乳がんの定義.1
乳がんの定義.2
乳がんの定義.3
乳がんの種類 標準
乳がんの種類 特殊

2.乳がんの症状
乳がんの症状.1
乳がんの症状.2
乳がんの症状.3
間違えやすい乳房の病気

3.乳がんの知識
乳がんの統計
男性の乳がん
閉経前と閉経後
癌はどうやって起こるのか
乳がんのできる場所

4.危険な人
月経
出産未経験
肥満
高齢出産
既往症
飲酒,喫煙

5.自分チェック
自己検診の方法
定期的なチェック

6.乳房に異変
良性と悪性
しこり
乳房の硬さ
乳房の痛み
分泌物
皮膚

7.乳がんの検査
マンモグラフィー
超音波検査
生検
マンモトーム生検

8.CT,MRI,PET
さまざまな検査方法
PET(ペット)
ヘリカルCT・MRI
乳房温存療法とCT,MRI
再発・転移の検査

9.乳がんの手術
乳がん手術治療
乳房温存手術
乳房切除術
内視鏡手術
術前化学療法
術後の検査

10.手術以外の治療
薬物療法
術後補助療法
ホルモン療法
再発・転移の治療
ホルモン療法と化学療法
分子標的療法
放射線治療

11.その他
乳房の再建
抗がん剤の副作用
乳がんのステージ
乳がんの用語解説

 
 

乳がんの薬物療法

 乳がんの治療で薬物療法が行われるのは次の3つの場合です。
@術前化学療法(前項参照)
A術後補助療法
B手術ができない乳がんに対する治療
 また、乳がんの薬物療法には、化学療法(抗がん剤を使う)、ホルモン療法(ホルモン剤を使う)、分子標的療法(トラスツズマブ=商品名「ハーセブチン」を使う)、などがあります。

 

術後補助療法

 手術でがんをきれいに切り取り、リンパ節転移もないのに、10〜15%の患者さんに再発が起こります。発見された時にはすでに浸潤がんで、おそらく何万個かのがん細胞が乳房から離れて、体内をぐるぐる回っているからです。全身をめぐっているがん細胞は99.99%は自然に死滅します。ところが、残りの0.01%のがん細胞は死滅しないでどこかに潜んでいるのです。それが着床し増殖してくるのが再発・転移です。手術した乳房で起これば局所再発、それ以外のところで起これば転移ということになります。

 術後補助療法とは、この0.01%のがん細胞をおとなしくさせ、自然に死滅させようとする治療法といっていいでしょう。乳がんは再発・転移すると、現在の技術では完全に治すのが難しくなります。術後補助療法で再発・転移の芽を摘むことが非常に重要になってくるのです。

 手術でがん細胞がきれいに除去できても直後から抗がん剤治療を始めるのが普通です。術後補助療法といいますが、これは微小転移を根絶し、再発を予防するために行います。しかし、そう言われても、微小転移などという、あるかないかもわからないもののために抗がん剤のつらい副作用に耐えるのは大変です。相手が身体に潜んでいるわずかながん細胞なので、はたして効いているのかどうか測定することさえできません。抗がん剤は正常な細胞に対しても毒性があり、特にがん細胞と同じように活発に細胞分裂を行っている細胞(粘膜や毛母細胞など)に対する毒性が強いので、それが吐き気や脱毛などの副作用として出ます。これを乗り切るためには、がんが全身病であることをきちんと理解し納得して治療を受けることが大切です。

 

ホルモン療法

 ホルモン療法とは、女性ホルモン値を下げる治療法です。閉経期と同じようなホルモン環境になるため、更年期障害の諸症状を訴える人が少なくありません。数週間から数ヶ月すれば、身体が女性ホルモンの足りない状況に順応しますので、症状は軽くなるはずです。それが待てない場合は、ホルモン療法を変更することもできますから、主治医に相談してください。

 ノルバデックスは10年で45%の乳がん再発を減らすことができます。リンパ節転移のある患者さんが10年間に再発する確率は約30%、1000人中300人です。この300人の45%、つまり135人がノルバデックスの服用で再発を免れることになるのです。ただし、ノルバデックスの副作用として、子宮体がんにかかりやすくなるという心配があります。リスクとメリットを比較して考える必要があります。

 ノルバデックスを服用している人は、年に1回、子宮がん検診を受けるようにしてください。そうすれば早期に発見できます。ノルバデックスの副作用としては、他に視力低下や味覚の異常があります。ノルバデックスは、コレステロール値を下げるので、心臓の病期のリスクがやや減るというメリットがあります。

 アロマターゼ阻害剤の場合、子宮に対する影響はノルバデックスに比べ小さいのですが、長く投与すると骨粗しょう症の心配が出てきます。骨密度を4〜6ヶ月に1度測定し、もし骨密度が低下するようなことがあれば、骨粗しょう症の薬を併用することもあります。

 

再発・転移性乳がんの治療

 乳がんの再発はだいたい手術後5年以内で手術後の2〜3年がピークです。ただ、他のがんに比べ、乳がんは進行が遅いので、手術後10年過ぎてから再発することもあります。

 再発は局所再発と遠隔転移に大別されます。手術痕や温存した乳房から再びがんが発生してくるのが局所再発、乳房から離れた場所に発生するのが遠隔転移です。乳がんが転移しやすいのは、骨、リンパ節、皮膚などで、肺、肝臓、脳などにも転移します。なお、乳がんが肺に転移した場合、それは肺がんではなく、転移性乳がん(乳がんの肺転移)といいます。肺にあってもがんの性格は乳がんなので乳がんの治療が必要になります。

 局所再発で転移がない場合は再度手術を行い切除します。転移性乳がんについては全身的な治療が原則です。痛みや出血があった場合は、対症療法として手術や放射線治療などの局所治療を追加します。

 転移性乳がんの治療の基本はなるべく進行を遅らせることです。さらに、症状を緩和して、QOL(生活の質)を維持することとなります。これまで緩和ケアは治療手段がなくなってから行われるものと考えられていました。しかし、痛みなどのつらい症状を取り除くことには、延命効果もあります。そこで最近は、進行を遅らせる治療と進行して緩和ケアも行われるようになりました。

 転移性乳がんを根治する治療法は残念ながらまだありません、しかし、かなりの延命は可能になってきました。糖尿病や高血圧などの慢性疾患と同じように考えて、がんと上手に付き合っていくことが大切です。

 

ホルモン療法と化学療法

 ホルモン療法にも化学療法にも一次から三次までの療法があります。
 ホルモン感受性がある場合は、副作用が少なく、なるべくQOLを損なわないホルモン剤を第一選択とし、それが効かなくなったら次のホルモン剤を順次投与する、という方法がとられます。あらゆるホルモン剤が効かなくなったり、生命に直結するような転移があらわれた場合には、抗がん剤に移行します。ホルモン感受性がない人は、最初から化学療法の抗がん剤治療ということになります。

 現在、転移性乳がんの化学療法で中心的な役割を担っているのは、タキサン系のパクリタキセル(商品名タキソール)です。抗がん剤は、以前は可能な限り増量して効果を高める大量化学療法が標準治療とされていましたが、タキソールでは、1回の量を減らして毎週投与する方法が行われるようになっています。これを「ウィークリー・タキソール」といいますが、この方法で転移性乳がん患者の生存期間が明らかに伸びたといわれています。

 また、アンスラサイクリン系、タキサン系の抗がん剤が効かなくなった場合の治療薬として注目されているのが、カペシタビンという経口抗がん剤です。

 

分子標的療法

 最近注目されているのが、トラスツズマヅ(ハーセプチン)です。転移性乳がんに対する初回治療として、トラスツズマヅ単独の使用で効果があったのは26%です。また、化学療法単独よりもトラスツズマヅを併用した方が成績が良く、特にタキソールとの併用は、57〜62%の効果があったと報告されています。

 トラスツズマヅが効くのは、HER2という受容体が過剰に出現している乳がん細胞に対してです。HER2は細胞膜を貫通するように存在していて、増殖に必要な情報を細胞の外から細胞の中に取り込む働きをしています。HER2がたくさん出現しているから、がん細胞はたくさん情報を取り込むことができ、活発に増殖できるのです。トラスツズマヅはこのHER2受容体に取り付き、ふたをして、情報を取り込めなくしてしまうのです。

 分子標的治療薬という名前からもわかるように、トラスツズマヅは病気の原因となる分子にのみ作用します。増殖の活発な正常細胞までも攻撃してしまう従来の抗がん剤とは、この点で大きく異なります。したがって吐き気や脱毛といった副作用はほとんど出ないのですが、薬の働きからは説明できないような副作用があります。ひとつは発熱・悪寒で、これは最初の投与で40%の患者さんに出ます。しかし、2回目以降は5%に減ります。

 もうひとつの副作用は心不全です。軽い運動などで息が切れるなどの症状が5%の患者さんに出るとされています。そのため、もともと心臓に副作用が出るとされるアンスラサイクリン系の抗がん剤と一緒には使えません。また、治療中は定期的な心臓の機能検査が必要です。

 

放射線治療

 放射線は細胞のDNAを切断することで、細胞を殺します。がん細胞は正常細胞よりも放射線の影響を受けやすく、量や範囲を的確に設定すれば、正常な細胞を傷つけずにがん細胞だけを殺すことが可能です。一般に鼻・口・のどなどに発生する扁平上皮がんには放射線が効きやすく、胃や腸に発生する腺がんは放射線が効きにくいとされていますが、放射線感受性には個人差も大きく、一概にはいえません。

 乳がん治療で放射線が使われるのは、おもに次の場合です。
@乳房温存手術の後
A乳房切除術の後
B手術不能な進行乳がんの術前治療
C再発・転移性乳がん治療

 乳房温存療法とは、温存手術プラス放射線治療のことで、温存手術と放射線治療はセットと考えてください。手術後、放射線照射したグループとしないグループの乳房内再発率を比較したところ、照射しなかったほうは35%、照射したほうは10%でした。放射線照射が乳房内再発率を大幅に下げていることがわかったのです。この数字はアメリカの試験結果ですが、同様にイギリスでは26%と5%、カナダでは26%と6%というようにいずれも照射したほうが大幅に再発率が低いのです。これは放射線照射をしないと、たとえがん細胞を残らず取りきれたと思われる場合でも乳房内再発が26〜35%の人で起こるということです。つまり、乳房温存手術はある程度がん細胞が残ることを前提にした手術であって、だからこそ放射線治療とセットで温存療法が完了するのです。

 乳房切除術後に放射線を照射するのも、乳房温存手術の後と同じ理由です。乳房を全部切除しても20〜30%の人に局所再発が起こるとされ、放射線照射によりそれを約3分の1に減らすことができるのです。その結果、生存率が約10%向上するという報告があります。日本では、温存手術よりも根治的な手術をしたという安心感のためか、乳房切除術の後で照射されることは少ないようです。しかし、リンパ節転移が4個以上、またはしこりが5cm以上、すなわち局所再発のハイリスクグループに入る人は、切除術後の胸壁および腋窩リンパ節に対する放射線治療を受ける必要があります。

 手術不能な進行乳がんに対する術前治療とは、術前化学療法が無効であったり、なんらかの理由で抗がん剤が使えない場合は、放射線を照射してしこりを縮小させて手術に持ち込むことができます。

 再発・転移性乳がんに対する放射線照射の目的は症状の緩和です。たとえば骨に転移した場合、骨折したり痛みが出ることがあります。そこに放射線照射することで、骨折を予防したり、痛みを緩和することができます。また、脳転移の場合も、脳の内圧が高まるために頭痛、悪心、嘔吐などの症状が出ますが、がんに的を絞って放射線を照射することで、これらの症状を緩和することができます。

 
 
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